11月3日は何の日?
それはね
月に一度の
さん・ぴー・ディ。
年に一度の、悩ましい日。
::: 食傷気味の獏 :::





真夜中、3時半。
だるい身体からパジャマを引き剥がし、シャワーのカランを回す。熱めの湯を頭から浴びた。
興奮している。そして自己嫌悪に苛まれている。
あんなに大量に…

シャワーからあがって、乱暴に身体を拭う。どちらかというと機嫌が悪いのだな、と思う。
新しいパジャマを着けて、前に着ていたほうを思い出す。
今まで何の抵抗もなく、当たり前のように洗濯を頼んでいたのが、
それが誰の手をわたっていくのだろうと初めて気になった。
そっと部屋を出て、洗濯機のあるリネン室に足音を忍ばせて入る。
勝手がわからないので、とりあえず水洗いして脱水だけしてとりだした。
朝まで部屋で干しておこう…

ベッドに潜り込みながら、仕事の段取りを確認して、夕食の時間を捻出する計画をたてる。
ふわり、ふわりと身体が眠りに誘われる。
ああ、今度は熟睡してくれよ…






「速水さん。速水真澄さん」

そう呼ばれて診察室に入ると、いかにも優しそうな目をした髭の医師がおれを迎えた。

「これはちょっと重症ですね… お辛そうですから」

八の字に眉毛を下げて、気の毒そうに医師が言う。
おれ自身は特に体調が悪いとは思っていなかったのだが?…その思いが顔に出たのだろう。
医師が困った笑顔でおれの脇を指さした。
見るとそこに、薄紫の身体に大きく膨れた腹を持ち、どでん、と横たわって
へぇ、へぇ、とため息をついている獏がいた。
虚ろな目をしている…いや、
どちらかというとおれに恨みがましい視線を送っている気がした。

「消化不良を起こしてますな。ほら」

獏は「ガーーーーーフ」と声を立てて、口から身体の色と同じ、薄紫の煙を吐いた。
煙はすぐに消えることなく、しばらくその辺りにもやもやと漂っている。
そうするとまた、「ガーーーフ」「ガーーーフ」と続いて吐き出していく。
おれと医師の間にまで、薄紫の煙が漂ってきて視界を遮る。
おれはそれをかきわけながら、医師に聞いた。

「それで、おれはどうしたら?」

医師は消えて無くならない煙の塊に嫌な顔をひとつせずに、

「とりあえず、この子が消化不良を起こさないようなエサにしてやって下さい」
「それはどんなエサがいいんですか」
「それはですね、まず…   」

医師の言葉をメモしようと思ったが、まわりの薄紫の煙に囲まれて遮られて、
とうとう医師の姿は見えなくなってしまった。
闇雲に腕を振り回していると、やがて煙は晴れていった。

薄桃色の背景の中に放り出されて医師や獏の姿を探す。
診察室だったはずなのになぁ…と思いながらしばらく行くと、
部屋の隅にマヤが佇んでいるのに気がついた。

「ち…ちびちゃん…?」

声をかけるとマヤは大きな瞳を見開いて、その瞬間全身を紅く火照らせた。
そう、全身…。
つまり、今気がついたことだが、全裸だったのだ。

「ごめんなさい、速水さん…あたし、今まで速水さんに反抗ばっかりしていて。
 あたし、謝りたいって思って。許して欲しいって思って」

「え…あ…?」

「ね…ほんとに、今まで…ごめんなさい」

マヤはおれにしがみついてくる。裸の胸を押しつけてくる。
そうして、おれのネクタイを弛めてボタンを外そうとする…

「あ…おい…」

マヤは気にせずどんどんとおれを裸にしていこうとして、最後の一枚に手をかけ…
そこで初めて、上目遣いにおれを見た。

「いいでしょ…?」

カラカラに喉が乾いている。
喉の粘膜は互いにひっついてバリバリと音をたてそうで思うように声がでない。
もう片方で声がした。

「ずるいわ、独り占めしちゃ。あたしもまぜて」

マヤがもうひとり。同じく全裸で…
もうなんだかわけがわからないのだが、なんの不思議も感じないでおれはされるがままになった。

ふたりは同時におれを突き倒し、おれは柔らかなベッドの上に仰向けに転がった。

ふたりのマヤが瞳を潤ませておれの最後の一枚を下ろし、おれの下半身は弾むように現れた。
気恥ずかしくなるほどそれは、嬉しそうにそそり立っていた。

マヤはそこに手を添えてゆっくりと撫で回す。
一方は頭を丸く撫で、もう一方は竿のところを上下にさする。
おれは一度に二人以上の女性を相手するような経験は無かったが、
ここまで愛しい子に愛撫をされたら我慢などできるはずもない。
おれは唸り声をたてて快感に翻弄された。
もう、出る…マヤの手のひらのなかに、射精してしまう…
そう何度も思うのに、おれの快感は永遠に続く責め苦のように果てることはなかった。

「ね…あたしも…触って…」

ふたりのマヤはおれの両脇にひざまずいて丸いヒップをこちらに向けた。
それは剥きたてのの果実のように、つやつやと光を帯びている。
両手を使って片方ずつの尻を撫でる。ゆっくりと。
二人は止まることなく、おれの局部を愛撫しているようだった。
ふたりの股に指を添わし、控えめにのぞく草むらに露が宿っているのをみとめた。
かき分けると向こうで小さく「はぁっ…」とのため息がもれた。
片手にひとつずつマヤの性器をあてがわれて、おれの興奮は最高潮になった。
粘液におおわれて小さなヒダが震える。
それぞれの指が、その奥へと潜り込もうと辺りをなぞって粘液をまとおうとする。

「あ…あっ…ん」
「はぁ…っ、あふ、っ」

マヤの悩ましいデュエットがひびく。
指はマヤの中に入り、壁をこすり、小さく暴れた。
その度にマヤが喘ぎ、ため息をもらした。
そのうちおれの送り出す快感のうねりでマヤのなかが小刻みに締まり、ふたり同時に果てた。

「あぁ…速水さん…ステキ…」
「気持ち…イイッ…」

ふたりのマヤはおれのはちきれそうになっているモノに、とうとう舌を這わせ始めた。

「あぁぅっ…ま…マヤ…ッ」

小さなかわいい舌をはしたないくらいに突き出して、ぺろぺろと舐めさする。
唾液がキラキラと光って、糸を引くほどに。

「あ…あ…マヤ…ダメ…だめだ、もう…それ以上…ッ」

おれには限界が近づく。それなのにマヤが舐めているそこは
ますますいきり立ちそそり立ち、猛々しく大きくなってゆく。

「速水さんの…ここ…張り出している、この角度が…ステキ…好き…」
「あたしは…ここの…血管が、浮き出るほど、硬くなるところが…好きよ…」

その言葉を聞きながら、絶頂に行けそうで辿り着けない…
涙が零れそうなほどの快感で、まるで女性がするようにシーツを掴み指を咬んだ。

なのにおれの息子はいつの間にかおれとは別の人格を持ったかのように、
二人のマヤに奉仕をされてどんどんと肥大していった。
みているうちにマヤの口に入らないくらいに大きくなり
マヤはそこにしがみついたり跨ったりした。

「あぁっ、あん、速水さん…」
「イイ、あん、いいの、いいっ…」

マヤは濡れてしたたる性器をおれの肥大した息子に擦りつけ、その摩擦を楽しみ始める。
くちゅくちゅ、ぷちゅ、という水音をたてながら、マヤは我を忘れて腰を振りつづけた。
亀頭の張り出しに頬を擦りつけ、合わせ目に舌を振動させて
尿道口に息を吹きかけたり指を挿入しようとする。

なんて、マヤ、淫らにおれを…

「マヤ…マヤ…もう、いく…いかせてくれ…ッ…」

最後に自分でコントロールしようと、自分の手を伸ばしてしごこうとした。

有り得ない大きさに肥大し、欲望の塔のように育っていたおれの息子は
薄桃色の背景にどどん、とそそりたっていた。
黄色いまばゆい光が遠くから差し込み、おれの亀頭には後光がかかるように見える。

ああ…綺麗だ。
最近まったく活躍できないで萎れるばかりだったおれのしんぼるは、
実はこんなにも雄雄しく、美しかったのだ…

ちゃんと使ってやらないとな…

そう思ったら、しんぼるはゆっくりと振り向き、にっこりと笑いかけた…ように見えた。

「あぁっ、ああああああ…ん!」
「い、いくぅぅぅっ…」

ふたりのマヤがイクと同時に光差す天から、
他にも何人ものマヤがしんぼるを目指して降りてくるのを見た。
まるで紅天女のように羽衣をまとい、何人も、何人も…。
ああ…もう…そんなにおれは …相手出来ない…ッッ!!






そんな幻想的な風景の中ますます肥大したしんぼるは…
まるでスローモーションでクラッカーを爆発させる映像を見るように、
噴水のように、盛大に……精液を発射したのだった。

そこで、おれは…    目を、覚ました…。




12歳の誕生日の夜、おれは男として最初の放出をしたのだったが、
それ以来の失敗だった。
しかも、こんなに大量にぶちまけるとは…
30を過ぎても、ここまで放出できるなんて若いってことじゃないか、と自分を慰める。
おい、そういえば誕生日じゃないか…?

片想いの娘に夢で翻弄されて夢精する誕生日…情けなさ過ぎじゃないのか、速水真澄……?
誕生日プレゼント、にマヤにイイコトをされて…なんて妄想も何度したことだろうか。

あの薄紫の獏の、あの恨みがましい目つきを思い出した。
もう、イイカゲンそんな夢ばかり食わせるのはカンベンしてほしい、ということなのか。





誕生日。



だめでもともとだ。電話をして食事に誘い出してみよう……







おしまい。









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速水真澄さま
お誕生日おめでとうございます☆はっぴーさんぴーばーすでー!


おはなし:はね吉/ え:モチコまいこ 非リンクフリー
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