『浦島すみ太郎 と マヤ亀』 by はね吉





むかし。

海辺の浦島という村にすみ太郎という若者がいた。
すみ太郎は男が見上げるほどの大きい体をしているが、小さいものに優しい気立ての良い男だった。
そして役者か謡うたいかというほどに見目麗しく、村の娘たちの羨望の的であったが
生来まじめで色事に弱くまだ嫁を取ってはいなかった。
年老いた母とふたりだけ、毎日海に出掛けていっては得意の釣りをして集落に売りにゆき、
のんびりと暮らしを支えていた。


ある日のこと。

すみ太郎が海辺に出掛けてゆくと、波打ち際に数人の子どもたちがなにやらわいわいと騒いでいた。
見ると子どもたちの囲む真ん中に、小さな子亀が裏返しになってじたばたともがいている。
足ヒレを砂に打ちつけて返ろうとすると、すぐさまこどもらに逆に返されてしまい
砂を飛び散らせては虚しく足ヒレをばたつかせている。

まわりの子どもらが子亀の暴れようを笑ったり罵ったりはやし立てているのを見て
すみ太郎は心底子亀を哀れに思った。

「おいおい、そんなかわいい子亀を虐めるんじゃないよ」
「なんだよ。こんなちっこいヤツ、どうせ生きていけっこないよ」
「そんなことはない、おれがその亀を買い上げる。それで文句はないだろう」

すみ太郎はその日の売り上げを全部子供らに渡して、子亀をひきとった。

「さぁ、これでお前は自由の身だ。もう悪い奴につかまるんじゃないよ」

子亀は黒目がちの瞳ですみ太郎をじっと見つめ、名残惜しそうにしながら海へと帰っていった。




それから数日後のこと。

すみ太郎が海辺で釣りをしていると、そこに大きな海亀がやってきて
なんと人間の言葉で話しかけてきた。

「わたしはあなたに助けてもらった亀でございます。
 海の国に戻ってあなた様のことをはなしましたところ
 竜宮の潮里姫さまがたいそう感激されまして、
 あなた様を是非竜宮の宴にご招待したいとの仰せでございます。
 どうぞこの亀に跨ってくださいませ。竜宮にお連れいたします」

「あんなに小さかったお前に跨るなぞと…」

「大丈夫です。あなた様をお連れしたら、また小さく戻るのです。
 潮里姫さまに魔法をかけていただいたのです」

聞けば聞くほど不思議な話、すみ太郎は母へおもしろい話でもしてやれると思い、
軽い気持ちで助けた亀に跨った。

「ところで、お前の名前はなんというの?」

「亀になど名乗る名前はございません」

「竜宮の姫さまには名前があるのだろう?」

「あぁ…そういえば前に名前がございました」

「前に?」

「はい…潮里姫さまには内緒ですが」

「なんというの?」

「はい…マヤ、と」

海の国というのは、すみ太郎には想像もつかない穏やかな世界であった。
森や林の樹々のかわりに海草がゆらゆらと立ちのぼり
魚はきらきらと鱗を光らせて、舞うように横を滑り抜けてゆく。
色とりどりの珊瑚と海草の花畑に、小さなカニやエビが戯れている。
ふと天井を見上げれば、遠くに鱗のような煌めきがさざめいている。

「あれが海面でございますよ」

マヤがほほえみながら教えてくれた。

「地上が晴れているときは、あのように青地に黄金の煌めき。
 満月の夜は何処までも深い藍色に小波の雲母が煌めきます」

「この世に…あのような美しいものがあったのだな」

「時化の時は大風が吹いたような音が致しますが、海の底は静かでございますよ。
 海面の色は波と泡で淀んでおりますが、そのあとで楽しい地上の便りがございます」

「地上の?」

「はい。海に流されたもので、わたしたちは地界のものを知るのです」

「ほう」

「いつぞやは、あなた様のびくが参りまして。
 さぞやすみ太郎様お困りだろうとみなで話しておりました」

「そう!たかをくくって浜辺に来たが途中で荒れてね。あっと言う間に流されてしまった」

しかしなぜ、それが自分のものだと…?


「マヤ。お前はどうしてそんなことまで知っているのだ?」

「それは…」

「お前と知り合ったのは、びくを流したのより後のこと。それをどうして…?」

「すみ太郎様はこの海の国では有名なのでございますよ。
 私のような地上にあがることのできるものが竜宮で話すのです」

「マヤ。おれにいろいろ教えてくれ。海の国のこと、竜宮のこと、潮里姫さまのこと。
 おれにはお前が一番安心できる」

マヤ亀はすみ太郎に言われて、恥ずかしそうに瞳をしばたかせた。

「わたしは…そんなことを言っていただけるような者ではございません」

「いや、少しおれは不安なのだよ。
 お前の話を聞いていると何故か古くから知っているような心地よさがある。
 またおれを助けておくれ」

「ありがとうございます…助けていただいたご恩返し、必ず致します」


竜宮に迎え入れられ潮里姫と対面すると、その美しさにすみ太郎は驚いた。
地上ではまずお目にかかれないほどの美しさであった。
透き通った肌は真珠のようにつやつやとしており、黒髪は豊かで艶やかで、
その唇は珊瑚のように紅く、妖しいくらいだった。

「おお、すみ太郎殿、よくぞ竜宮にお越しくださいました。
 この度はこの亀をお助けくださいまして、本当にありがとうございました。
 狭いところではございますが精一杯のおもてなしをさせていただきます、
 どうぞごゆるりとお過ごしくださいませ」

潮里姫に連れられて海綿の布団にともに座り、供の者が合図で音曲を奏で、舞を踊る。
酒やご馳走が運ばれて宴が始まった。

聞いたことの無い調べ、色とりどりの魚の舞、全てがすみ太郎を夢中にさせた。
そうして心を奪われていると、なにやらぎゅうぎゅうと身体を押される。
見ると潮里姫が盛んに身体をすみ太郎に擦り付けている。…驚いて見るとにっこりと微笑む。
透き通るような衣の向こうに、豊満なおんなの身体が見える。

「よろしいのですよ」

潮里姫は耳元で妖しく囁いた。

「何が…」

「村の娘でも、わたくしほどの者はおりませんでしょう?
 すみ太郎様のお好きなようにされてもよろしいのですよ」

たしかにすみ太郎にとっては、若いおんなの身体に触れる機会など無かったが、
まさか自分がこの姫様相手に、などは思いもしなかった。
するすると衣を脱ぎ始める潮里姫の腕と脚には、魚の背鰭のような長い鰭が縦に一本ずつ通っている。
それが触るとなんだか痛そうだ。
豊満な乳房の白さに目眩がしそうになったが、
初めて見せつけられた女陰はなにやら栄螺や鮑や海鼠のようで
すみ太郎は恐ろしくなりその場を逃げ出した。





「どうしたのです?すみ太郎様」

小さくなったマヤ亀が声をかける。

「あぁ・・・そんなつもりもないのに、あんなことを迫られては…
 男として情けないのかもしれないが、さすがにあの背鰭と海鼠はなぁ…」

マヤ亀が顔を真っ赤にして笑った。

「すみ太郎様は…かわっておられます」

「そうか?」

「ふつうの男の方は、平気でございますよ、鰭くらいのことなら…海鼠はよく存じませんが」

「何度もこんなことがあったのか?」

そう聞かれてマヤ亀はサッと顔色を変えた。

「あぁ…はい…わたしが話したことは、どうぞご内密に」

すみ太郎はマヤ亀に呟くように話した。

「おれは、いくら美しくてもあんなあからさまな誘いには心が動かない。
 …というよりも、もっとしみじみと心に添うてくれるような娘にしか…」

マヤ亀は黒い瞳でじっとすみ太郎を見つめている。

「や、こんなことをお前に話してしまうとはね。意気地のない男と笑ってくれ」

「そんなことはございません。すみ太郎様はお優しい方ですから…」

「お前みたいなかわいい子が人間の娘になったら、きっとおれは好きになるよ」

すみ太郎は優しくマヤ亀の甲羅を撫でた。
マヤ亀は真っ赤になりながら、うっとりと甲羅を撫でられるままにしていた…





潮里姫は昨夜すみ太郎に逃げ出されてから、たいそう機嫌が悪かった。
今まで男が地上から連れて来られる度にそうして誘いをかけてきたが、
どの男も意に添わぬことは無かった。
ちらと誘う目でみつめるだけで、簡単に潮里姫に抱きつき、まぐわいを始めるのだった。
それが竜宮の姫の仕事、であった。

古より、人魚の肉を食らえば永遠の命を得ることが出来るとの言い伝えがあるが、
それは人魚の世でも同じであった。
いや、半人半魚の海の者は、同族同士では子を成すことができない。
こうして地上から人間の男を捕らえて来ては、一生分の子種を奪うのだ。
そうしてやっと、海の者は子孫を得ることが出来るのだった。

すみ太郎は見目麗しく身体も大きく、子種には申し分なかったので
潮里姫が是非に、と願い続けた男だったのだ。

いつものように海亀を使いにやり、すみ太郎を連れては来たのだが…
どうもあの子亀、すみ太郎殿と親しすぎる…
潮里姫の紅い唇が、ぎりり、と歪んだ。



次の日の宴の時、すみ太郎の横で潮里姫は声を上げた。

「すみ太郎殿をお連れした亀を連れて参れ」

宴席の中央に、小さなマヤ亀が連れてこられた。

「どうじゃそこな亀よ。お前すみ太郎殿の前でひとつ舞などお披露目せぬか」

「いえいえ姫様、わたくしなど…」

「そうじゃな、醜いお前が舞うなどと殺生なことを頼んだわらわが悪いの、ほほほほほ」

「お前に似合うのは、哀れにひっくり返ってじたばたし、笑いを誘うことくらいよの」

「ほんにお前は小さくて哀れっぽいどうしようもない亀じゃ」

そうやって口々に嘲り、周りのものは笑いあった。
すみ太郎にはそれがとても悲しかった。
黙って耐えているマヤ亀が可哀想でならなかった。

「うたうことは出来ます」

マヤ亀はちいさなちいさな声をだした。

「ほう!」

「そういえばそうであったな。
 お前は昔、うたで人を魅了しておったと母が言っておったのを忘れていた。
 わらわも一度くらいは聞いてみても良いじゃろう。なぁ、すみ太郎殿」

「はい、わたしもこの子のうたを聞いてみたいです」

「うたえ!亀よ、うたうのじゃ!」






 とおいむかしのあるくにに
 かわいいひめがおりました
 くろいひとみにくろいかみ
 うたはことりにまけません

 まいにちうみをながめては
 うみにうたっておりました
 やさしいなみがそのこえを
 ほしいとひめにいいました

 いえいえこれはかあさまが
 わたしにくれたたからもの
 えらいとのさまかみさまも
 とりあげることはできません

 おこったなみはおおつなみ
 うみべのむらもそのひめも
 ねこそぎうばってゆきました
 うみのそこにはそのひめの
 さびしいうたがひびきます






「何じゃその歌の辛気くさいこと!宴が台無しじゃ!ええ、さっさとひきゃれ!!」

すみ太郎はマヤ亀の美しい声に聞きほれていた。悲しい物語に涙した。
またうたの続きをききたいと思いながら、宴を追い出されるマヤ亀の後ろ姿を見つめていた。

そうしているとまた音曲が鳴り、舞が始まる。潮里姫が身体をすり付け始めた。

「のう、すみ太郎殿…わたくしをはしたないとお思いなのか」

「あぁ…いえ…」

「わたくしはあなた様を一目見た時よりお慕い申しておるのです。わたくしを抱いてくださりませ」

「いや…その…」

のらりくらりと身体をかわすすみ太郎の様子に痺れをきらし、
潮里姫はとうとうすみ太郎の褌に手をかけた。
隙間からすみ太郎の一物を引きずり出そうと躍起になる。

「…や、めっ、潮里姫、何をするのですか!」

「欲しいのです、すみ太郎殿が!」

「そんなあからさまに!おれはそんなことでは立つ物も立たんのです!」

「立つとか立たんとかはどうでも良いのです!ささ、どうぞここにお入りくださいませ!」

口にするのもおぞましいような女陰が、目の前に…

「うわぁぁぁぁぁっ!!!」

すみ太郎は必死になって潮里姫を突き飛ばし、宴の席を逃げ出した。






翌日になって、潮里姫はがっかりした様子ですみ太郎の前にやってきた。

「すみ太郎殿…昨夜はたいへん失礼をいたしました。
 すみ太郎殿は、わたくしのことはお嫌いか?」

「いえ、嫌うとかではなく…わたしに甲斐性がないだけの話で」

「お優しいのですね、すみ太郎殿は」

「それにそろそろ、里の母のことも気になります。このへんでお暇したいと思うのですが」

「そう仰ると思っていました。またあの亀に送らせることにいたしましょう。
 これは竜宮の土産物にございます。地上では手に入らないたいそう珍しい宝物です。
 どうぞお持ちくださいませ。決して海の中ではこの玉手箱、開けてはなりませんよ」

すみ太郎は潮里姫に丁寧に礼を述べ、マヤ亀の甲羅に跨った。
心なしかマヤ亀は憂鬱な顔をしている。

「どうした?マヤ」

「ええ…はい、すみ太郎様とお別れはさびしゅうございます」

「嬉しいことをことを言ってくれるのだな。
 いや、お前ならば気が向いたときに浜辺に出ておいで。またあのうたを聞かせて欲しいのだ」

「すみ太郎様…」

浜辺に帰ると、すみ太郎はマヤ亀の甲羅から降り、丁寧に礼を述べた。

「潮里姫様の顔をつぶすようなことをしておきながら
 このような高価な土産などいただいた。どうか謝っておいておくれ」

「あぁ…いえ…その土産の玉手箱には」

「あぁ、いったいどんなものが入っているのだろうな。見てみるか?」

砂の上に玉手箱を取り出し、すみ太郎が紐を解いたその時、
マヤ亀がありったけの力をこめてすみ太郎を突き飛ばした。
すみ太郎の手から離れた玉手箱は砂の上を転がったはずみで蓋が外れ、
中からもうもうと白い煙が噴き出した。


「すみ太郎様、その煙から逃げて!吸い込んではダメ!!」

マヤ亀はすみ太郎に覆い被さり、煙からすみ太郎を遠ざけた。




煙が消えてしまった後、マヤ亀にすみ太郎は優しく声をかけた。

「いったいどういうことだったのかい?詳しく話しておくれ」

マヤ亀はすみ太郎を竜宮に迎えることになったいきさつを話し始めた。
潮里姫はすみ太郎から子種を奪うために、竜宮に招待したのだ、と。
そのきっかけを作るため、自分はわざと子どもらに捕まったのだ、と。
古から亀は人間の男をさらうための使いであり、
竜宮で姫の身体に入れば最後、子種も精もすべて吸い尽くされて命を落としてしまうのだ、と。
そうして今まで何人もの若い男が海の藻屑になっていくのを、マヤは見てきたのだ、と。

すみ太郎はあらためて潮里姫に言い寄られたときの薄気味悪さを思い出していた。
紅い唇が、鰭の鋭さが、海鼠の気味悪さがすみ太郎に危険を教えてくれていたのかもしれない。



「それにしても、そこまで欲しい子種を取らずによくおれを戻してくれたものだな」

「しかし潮里姫様の執念は深いのでございます。さきほどの玉手箱…」

「ああ、白い煙を吸うな、とお前が庇ってくれた」

「潮里姫様を拒んだ男には宝物だと称して持たせ、浜辺で最後に襲うのでございます」

「なんと恐ろしい…」

「白い煙に巻かれ、吸い込んでしまうとみるみるうちに精を抜き取られ、
 男はミイラのようになってしまいます。
 そうして最期、男の方の一物から一滴、その男の精の水晶をわたしが受け取ります」

「な…」

「わたしは…その水晶を飲み込んで…竜宮の潮里姫様のなかに入り…
 水晶をおからだに移すまでが…わたしに仰せつかった役目なのです…」

「…あぁ…!! マヤ!なんと可哀想に…!」

「仕方がありません、わたしの頭の形が悪いのです…」

「ではマヤ…お前はおれの命を助けてくれたのだね」

「わたしのうたを喜んでくださったのは久しぶりでした。
 必ず恩返しをすると約束しておりましたゆえ」

「ところで潮里姫の命に背いて、お前は大丈夫なのか?」

「いえ、こうなった以上わたしをお許しにはならないでしょう。海の藻屑になるほかありません」



すみ太郎は自分の命に代えて救ってくれたマヤ亀が心底愛おしいと思った。
相手は海亀であろうが、すみ太郎の心にこのまま離れたくないという想いがこみあげ、
マヤ亀の甲羅をかき抱いた。

「マヤ…!お前が愛しい。
 人間と亀などあり得ない話だろうが、おれにはそうは思えないのだ。
 お前がもしも人間の娘なら…!」

「それは…それはすみ太郎様、本心で仰っているのですか?」

「ああ、おれが海亀に姿を変えてもよいとさえ思う…」

マヤ亀は、涙を浮かべてすみ太郎にたずねた。

「ではすみ太郎様。わたくしの頭に口づけをしてくださいますか?
 潮里姫様の女陰に入ったこの頭に、口づけを…」

すみ太郎は「潮里姫の海鼠」を思い出してぞっとしたが、
マヤ亀の黒い大きな瞳の愛しさにかわりはない。そうして亀の頭に口づけた。



その途端、マヤ亀の甲羅からさあっと光が放たれ、甲羅の継ぎ目がばらばらと崩れだした。
目を覆うほどの眩しい光が甲羅の中からあふれだし、見ていられなくなった。

「ああ、マヤ?!」

完全に壊れてしまった甲羅の中に、人間の娘がうずくまっていた。
黒い瞳に黒い髪、肌の色は抜けるように白い。爪も唇も胸の頂も、桜貝のようで初々しい。
亀の甲羅に閉じこめられていたその娘は、小さくはあったが十分に大人の体つきであった。

「すみ太郎様…」

「その声…黒目がちのその瞳…お前はマヤだね」

「はい…わたしは声を欲しいと波にさらわれた娘だったのです」

「あぁ…お前が聞かせてくれたあのうたの」

「潮里姫の母君に魔法をかけられました。
 人に戻りたければ、人間の男に心底愛しいと思われてその不格好な頭に口づけを受けよ、と。
 そんなこと生涯無理だとあきらめておりましたのに」

すみ太郎は人間に戻ったマヤをきつく抱きしめた。

「ああ…これでお前を海に帰さなくてすむのだね?ずっとふたりでいられるのだろう?」

「はい…すみ太郎様がそうお望みならば…」

「ぜひ。ぜひおれの嫁になってくれ。お前のうたの続きを聞かせてくれ」

「はい。よろこんで」

すみ太郎ははだかのマヤを抱き上げて、小屋に急いだ。

「着物は…用意するまで待っていて欲しい」

「はい…」

「とりあえずは…しばらくは…おれもはだかでいる…いいか?」

「ま…すみ太郎様…」

潮里姫にはぴくりとも動かなかったすみ太郎の物も
立派な亀に成長していたのでありましたとさ。


ああ、しまったしまった島倉ちよこ。



おしまい。







   あとがき


 やっちまいました、の浦島太郎話でございます。
 腎臓の石を砕く入院中、ベッドで点滴でゴロダラしているのですが
 その間にポメラでイッキ打ちしました、思い出の作品になりそうです。
 自分で言うのもなんだが「すみ太郎の亀」が立派になったオチ、気に入っております^^

 しかしですね、途中から「ます太郎」「ます太郎」と打ち込んでいまして、
 わーーーおま、誰っっっ?! ってなること十数回。

 「ます太郎」のほうが馴染みがある、ってことなんでしょうねぇ…

 お目汚しになりましたが、最後のいいわけ?もお読みいただきまして、ありがとうございました!

                  はね吉 拝





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