もう、降参です。


むかーしむかし。
チビ鬼ちゃんと恋に落ちた桃太郎は
世界屈指のリゾートホテルOni-ga-shimaで

蜜月の日々を送っていました。


「マヤ、好きだよ」
「あたしも、速水さんが好き。…ああ、夢を見てるみたい…」
「夢?」
「ええ。あなたは大都の有能な桃太郎で、あたしはチビで平凡な鬼です。こんなあたしが速水さんと結婚だなんて、夢のようだわ」

「夢なものか。昨日ウェディングドレスを着ただろう?」
「そ、それはそうなんですけど」
「ん?他に何か不安でもあるのか?」
「あ、あの、あたし、あの綺麗な人に申し訳なくて…」

「ああ、彼女か。彼女は鳥になってしまったからな…さすがにおれも鳥とは結婚できない。きみだって、猿とは結婚できないだろう?」
「え、ええ。でも、そんなこと言ったらあたしだって、チビだけど立派な鬼ですよ?桃太郎と結婚する鬼なんて、聞いたことないわ」

「チビちゃん、そう心配するな。きみのいつもの悪いクセだぞ?いいか、よく思い出してごらん。きみは今までおれのことを、何と呼んでいたんだ?」

「今まで…?ええっと、ゲジゲジ、冷血漢、イヤミ虫…」
「ひどいな、まったく」
「ご、ごめんなさい。あとは…鬼社長――…あっ!」
「ふっ、そうだ。おれは鬼社長なんだろう?きみと一緒でおれも鬼、というわけだ」
「速水さん…!!」

「おれはきみが好きなんだ。きみが何者でもかまわない」
「あたしも、あなたが誰よりも好き…!でも、でもね速水さん、あなたはあたしを成敗しに来たんでしょう?」
「…ああ、その通りだ」
「そんな…」

「今からおれは、きみを成敗する。ゲジゲジだのイヤミ虫だの、今まで散々な言われようだったからな」
「きゃっ!」
「口の悪い子には、お仕置きが必要だ」
「あん、もう…速水さんのエッチ」

こうして、桃太郎とチビ鬼ちゃんは

「どうだ、降参か…?」
「あっ、ぁ…もう、許して。降参です…っ」

イチャイチャしながら、末永く幸福に暮らしましたとさ。

めでたし、めでたし。


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