『塔の上のマヤ』 ::: 前編 :::
by ムーン・ライト





1. 

むかーーしむかしの御話をさせてもらうわよ。
その頃のアタシはこう見えてももててたのよ!
ぱっちりお目目、華奢な身体、ピンと張った髭、艶のあるグレーの毛並み 
あら?なんかおかしい?
うーん、やっぱりこんな婆の話をきいてくれるんだから正直に申し上げましょ。
アタシ、もうこの村に住んで50年くらいになるネズミなの。
あ、ちなみにね、お人に危害や病を撒き散らそうなんてこれっぽっちも考えてないから安心して。

今はこうして戦いもない穏やかな国になっているけれど、昔は作物も育たなくて荒れた土地の国でね、
その為に国を離れて他の地に移り住んでいく若者が多くてこの国の人がどんどん減って行ったのよ。
困った王様は家来たちに策を練るように言い伝えたの。
で、ある日家来の一人がこんなこと言ってたわ。

「王様。ここより西の国に作物を育てるのが得意という評判の魔女がいるという話を聞いてまいりました」

「なに、早速探し出して連れてまいれ!」

いささか強引で無茶ぶりなハヤミブルグ国エイスケ王。
アタシこーゆータイプちょっと苦手!
で、家来みんなでその魔女を探し出しなんとかこの国に連れてくることができたってわけ。
最初はしぶしぶだった魔女も王様から賜った広い土地や家をもらって願いどおり、作物の育つ土地に変えていったのよ。
ニンジンやジャガイモが沢山できてそれはもう王様も国民も大喜び。
だけど
魔女にはもう一つ不思議な力があって
なんと子供を授かることのできる作物を育む力があるというの。
もちろん王様もどんなものか聞きだしたんだけど
「その野菜をだれか口にしたら自分はこの国から出ていく」と言い張って
その野菜はどこにあるのか、いったいどんなものか結局聞き出せなかったの。

だけどある日、子供を切望していたある中年夫婦がこの野菜の噂をききつけ
わざわざ遠くの地からここまで旅してここまできたの。
そして
その夫婦はそれこそ秘密と言われていた魔女の畑をみつけだしたのよ。
…こんな簡単にみつかるなんて結構間抜けよね。
仕方なく魔女は「食べるのはただ一度だけ」という約束を夫婦と交わし
ある満月の晩にひと束だけその野菜を分け与えたの。 
早速その野菜を口にした女房は―――あまりの美味しさ驚きに夫にこう言いました。

「どうしましょう、あまりの美味しさにまた食べたくなってしまいました。
あなた、また貰ってきてはくれませんか?」  

「ただ一度だけ」と約束した夫はこまったわよねー。
なにしろ相手はただのうるさい隣のおばちゃんじゃなく、
魔女なんだもの。
約束を交わした以上、「もうひとつください」とは言えず悩んだ末
こっそり盗みだすことにしたの。
まー当然というか魔女にはばればれで引っ越しおばさんのように怒り狂った魔女はこう言ったわ。

「約束を破った罰としてもうすぐ産まれるあんたたちの子供をもらうことにするよ。
逃げようとしても無駄だからね。逃げたら女房を食ってやる!」 


――やがて10ヶ月後に夫婦にかわいらしい女の子が産まれ「マヤ」と名付けて夫婦は隠すように育てたけど
結局赤ん坊は一陣の風にさらわれて魔女と共にどこか遠くに行ってしまったのよ。


え?アタシ?
やあだ!このまま黙って見ていられる性分じゃないのわかってるでしょう?
このすばらしい脚力と嗅覚力と、そして仲間の情報をもらいながら追っかけたのよ!決まってるじゃなーい! 



2.

とはいえアタシのかわいらしい華奢な体ではなかなか探すのも大変で
あっという間に十何年経ってたのよお!月日の経つのって早いわよねえ〜!
もう諦めようかと思っていたときに不思議な建物を見つけたの。 
そんじょそこらの大木よりもたっかい塔でしかもあるのは窓ひとつ。
入り口なんかありゃしない。
まーアタシはかわいらしい華奢な体だから土掘ったり隙間からほいほい抜けてっちゃうけどね〜♪
で、最上階の部屋に近づくと、なにやら歌が聞こえてきたのよ。
歌って言ってもなんとか48みたいなあんな元気な歌じゃないわよ。
ン――とそうねえ、子守唄なのかしらこれ?結構可愛らしい声だったわ。
どんな子が歌っているのかと部屋をのぞいてみると…     
そこには真っ黒な長い髪の、真っ白な肌した
大きい目の女の子が座っていたの。 
その子はアタシに気がつくとにこりと笑ってこう言ったわ。

「ねずみさん?こんにちは。あたしマヤ。誰もお友達がいないから仲良くしてね」 

マヤ?  マヤ…じゃあ、あのやっぱり魔女に連れ去られた夫婦の子!
それにしてもこの子の笑顔ったらまあ、屈託なくてね。 
どうやらこの塔からは一度も出たことがなく話し相手と言えば魔女か食べ物を運んでくる鳥だけ。
な、もんだからそのへんの女ならアタシのかわいい姿見ても「きゃーねずみよ!出てって!」
とかゆうとこだけどこの子はまー楽しそうに話してくるじゃない。
あんまり楽しそうに話してくるもんだから聞きこんでいたら外からなにやら声が聞こえてきたの。

「マヤ!マヤ! お前の長い髪を窓から出しておくれ!」

てね。
どうやら魔女が帰って来たらしくアタシは急いで塔の屋根へ逃げたわ。
しばらく様子を見てたんだけどあの子…マヤが綺麗な黒髪を外へ出すと魔女はその髪を伝って部屋へ入って行ったってわけ。
あ、魔女なんだから空を飛べば?ってゆう突っ込みはこの際なしでよろしくね♪

どうやら魔女はマヤを他の人間と会うことは許さず、あくまでも自分の娘としてここへ閉じ込めておくつもりのようね。 
彼女が歌っていた歌も子供の時から聞いていた魔女に歌ってもらっていた子守唄だそうよ。
そんなことをしてなんの意味があるのかさっぱりだけどアタシは時々マヤの話をきいたり
子守唄でうたた寝なんてしたりもあったわ。

そんなこんなでも幾日かたったある日のこと。魔女がこんな事言ったわ。

「いいかいマヤ。あたしはこれから用事で遠いところへいかねばならない。
7日後には戻ってくるけどあたし以外の人間と話しちゃいけないよ。」

「はい、わかりましたおばあさん。」

もともとこんな辺ぴなところ誰も通ってこないと思いきや
その心配はちょっと的中したからびっくりよ!
魔女が出かけて翌日の朝のこと。

「マヤ!そなたはマヤと申すか!お前の長い髪を垂らしておくれ!」

聞きなれない声、それも男の声が塔の下から聞こえてきたの!  
その時もマヤはアタシに歌を聞かせてくれてたんだけどびっくりして歌うことをやめ、おそるそる窓から下をみたら
まーーーーおどろきの美青年がいるじゃないの!
たぶんこの時代に抱かれたい男ランキングがあれば間違いなく殿堂入りしそうな顔立ちで…
…でもどっかで見たことあるのよねえ。 
いんやそんなこといってるバヤイではなく!
だめよマヤ!魔女の言いつけを守らなければどんな恐ろしいことが! 
ああ、ねずみ語が通じないもどかしさったら!勉強用CDを通販で買っておいてもらえばよかったわ!

「ごめんなさい!誰かはわかりませんが知らない人と話してはいけませんときつく言われています!」

ああよかった。そうそう、そうやって断っちゃいなさい!

「今私は君と話している!知り合えたではないか!私をそこへ導いてくれ!」

んま!ずうずうしくて強引!マヤ絶対入れては…  


スルスルスル…

マ、マヤったら!警戒心てものをもってないのかしら…


その美青年はあっという間に部屋に入って娘に近寄って来たわ!

「ありがとう、実は時々ここを通ってはあなたの歌が聞こえてきてどんな方がいるのかとずうっと気になっていたのだ。
優しくてあたたかな声。是非名前を。」

「あの…あたし、マヤといいます。」

「私はマスミ。ここより北に位置するハヤミブルグ国の王子で
いずれ国を継ぐものとして各地、旅をしながら修行している。」  

ハヤミブルグ国…?マスミ…あーーーー!
思い出したわ!あの無茶ぶりエイスケ王の息子!アタシがまだあの国に入ってすぐ
子連れの小間使いを妃にしたって超話題だったもんねえ!週刊誌でいつもトップ記事だったもの。
あの時の息子がこんなにいい男になってまあ!
とはいえ血がつながってないのに強引なところなんて性格そっくりね。

「マヤ。歌の続きを歌ってはくれないか?君の歌はとても心が安らぐ。」

「はい。王子様。」

アタシも彼女の歌に聞き惚れてついうとうとしてしまって気が付いたら夜中になってしまい、
もともと夜派のアタシは飛び起きて仕事仕事と思って身支度整えていると
あの子の部屋から妙な声が聞こえてきたわ。

そう。
皆さん期待通りの展開になった模様よ。



3.

「ん…あ…っ!」

「マヤ、美しい、なんて白い肌をしているのだ。私は君に溺れてしまいそうになる」

「ああ…王子様…」

きゃああ!なんとまあ出逢った初日に手の早いこと!
でででも!いままでこーゆー場面には何度か出くわしてるけど(狙ってるわけじゃなくて偶然よ偶然)
王子のセクシィな表情とマヤの初々しさが織りなして―――エッチだわああ
目と耳がどおおおしても二人から離れない!

「ああ、いや、王子様恥ずかしい…」

「君のすべてが欲しい。君のすべてが見たい」

「あたし、まだ子供ですから…あっ…」

「子供がこんなすばらしい身体をもってはいないだろう。
雪のような肌、桃のような胸、口づけだけで感じてくれる足先、そして…」

「ああ!そんなに広げないで!」

「朝露を含んだような花弁…これを味わずにはいられない」

ああもう!腰から下がシーツをかぶってて見えないわ!で、でも水音が聞こえてくるわ…

「ああっ!ああ!  …お…うじ… あ、あ!」


……………長い!いままでで最長記録よ!


ああやっとシーツから王子が出てきた…

「少し辛いかもしれないが力を抜いてくれ、マヤ」

「はい…」

そうそう、ここが正念場よマヤ!

「いた!い…」  そうよね、始めての上にあんな(たぶん)大きそうなんだもの

「少し辛抱してくれればすぐ楽になる」

「は…い…、ん…ふう…」 そうそう、そうやって息吐いて…

わ!王子が我慢できずにもう腰動かし始めたわ!マヤは大丈夫なのかしら!

「う!うん…ああ!」

「すまない、大丈夫か?」

「だ、大丈夫で…ああああ!」   早いってばもう!王子!

「す、すまないマヤ、もう我慢できない!」

「い、一緒に連れてってくだ…さい…あ、あたし初めてだから…こわい…」

「よし…マヤ起き上がれるか?」

初日に座位とはまた高度な…

「ああん!あん!」  「マヤ、私にしがみつけ!」


「……………!」

「……………!」  


ああ…なんてうらやま…いいえ、素敵なんでしょう!
こんな美しいセッ(自己規制)ははじめてだわあ…
見ている(偶然だってば)こちらまで熱くなるよう♪ 


「…マヤ」

「はい…」

「私は3日後、この地を離れなければならないがまた逢えるか?」

「王子様…、私は一生ここから出られません。そして今は旅にでていますが
いつもは毎日魔女のおばあさんと暮らしています。
見つかったらどんな目にあわされるか…」

「それではその魔女とやらに話をして君がここから出られるようにしよう。
それまで待っていてくれるか?」

「あたし…まだ子供で歌うこととこの部屋しか知りませんが、
もっと文字も勉強して本も読んで大人になりますから、
待っています、いえ、あたしのこと待ってて…!」

「もちろんだ!もちろんだとも!必ず迎えに行くから信じて待っていてくれ!」

お月さんの光が抱き合ってる二人を祝福してるようで綺麗だこと!ふふ!
どっかの漫画ではこの後誰かが大怪我するようだけどアタシはそんなドジはしない…

ゴン!!!

な、なんでこんなとこに瓶が転がってんのよもう!
危うく足を骨折するところだったわ!




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