『背』 by Hermans様



夜中にふと目が覚めると広い大きな背中があった。木綿の布で包まれた、大好きなあたしの背中。こつんとおでこを当てる。速水さんの匂い。タバコとボディーソープとシャンプーの匂い。すぅと鼻から息を吸い込むと速水さんの匂いであたしの鼻孔はいっぱいになる。それと一緒に気持ちもいっぱい。好きって気持ちが。そっと頬ずりをしてみる。

「う…ん」

大きな速水さんの小さな声。もっと聞いてみたい。あたしはふと思った。腰をいざってあなたの頭と同じ所にあたしも頭を持って行く。

髪…。ちょっと猫っ毛だけどふんわりと巻いた癖毛。軽く指で巻いて見る。
くるくる。そっと指を回す。そして指をすぅと引っ張るとさらりと落ちる。あ、落ちちゃった。でも、気にしているのはあたしだけ。まだ速水さんは柔らかな寝息を立てている。

うなじ…。普段絶対みることないな。男の人は女性のうなじにドキドキするっていうよね。でも、あたし速水さんのうなじを見てドキドキしてる。変かな?でもいい。好きなんだもん。
速水さんのうなじから首筋にかけて、すっとなでてみた。今度は何も言わないで顔を上に向けちゃった。

声…。聞きたいな。

肩甲骨…。がっしりしてる。寝息を立てる度に広がったりせばまったりしている。みんなそうなのかな?母さんのも麗のも見たことない。それだけあたし、速水さんの近くにいるんだ。
両手で左右の肩甲骨を包んでみる。そしてそっと撫でてみる。その時

「うん…?マヤ?まだ三時だぞ?」

速水さんの声!聞こえた!
突然右手が降ってきた。そうして速水さんの右手はあたしの首の後ろに入ってくる。頭を長い腕で丸抱えにして

「おやすみ…」

低い、小さな声。誰も聞いたことない、速水さんの声。もっと聞きたい。
目の前には速水さんの胸。ピンストライプのパジャマに隠されてる、いつもあたしを包む広くてあったかい胸。
速水さんの胸に手を当ててみる。あたしと違う、堅い胸。どれだけこの胸の中で夜を過ごしたろう?ふと指を動かすとちょっと引っかかる。ボタンじゃない。もっと柔らかい。それに触れてみた。

「ん…」

わかっちゃった?ううん、速水さんはどんなに起こしても一度寝たら、目覚ましがなるまで絶対に起きないのをあたしは知ってる。
そっと円を描く様に触れてみた。段々固く尖ってきた。あっ!これが立つってこと?あたしによく

『ほら、立ってきた。いやらしいな。マヤは。』

なんて言うのに、ちょこっと触れただけで速水さんのも立っちゃうんだ。しかも意識ないのに。
でも、あたし思った。あたしも速水さんに触れられると気持ちいい。こうなったのはやっぱり速水さんも気持ちいいってことなの? あたしが触れるだけでこんな風になるの?何だか嬉しい。与えられるばかりであたし、何もあげられない。
パジャマの透き間から手を入れてみる。柔らかいけど堅い物に触れた。つんと立ったそれを指の腹でそっと撫でてみる。ぷると揺れるそれはまるでキスチョコのよう。だから、キスしてみたい…。
パジャマのボタンをゆっくりと外すと速水さんの胸が見えてきた。白くない、でも焼けているわけでもないそんないろの素肌にぽつんとついているもの。そおっと顔を近付け唇で啄んでみる。

「う…ん」

もうちょっと。今度はいつも速水さんがするように右手で胸をなで、唇で啄み、丸く円を描くように舌を這わせてみた。

「う…」

身を捩って仰向けになっちゃった…。パジャマのボタンを締め直さなきゃと片肘を着いて軽く起き上がろうとしたら

「おはよう…。随分刺激的な目覚まし時計だな。しかも時間が狂ってる。」
「まだ、三時過ぎです。」
「じゃあ、俺のこの格好はなんだ?」

あたしは小さい子がいたずらを見つけられた様に

「速水さんが寝相が悪くてとれちゃったんでしょ?」

なんて苦しい言い訳をしてみた。ゴロンとまた横向きになった速水さんがあたしと向かい合った。

「そうか?じゃあさっきココに感じた物も俺の寝相のせいか?」

とはだけた胸を指差した。あぁ、だめ。きっとからかってる。さすがにこの人の口八丁にあたしがかなう訳ない。

「ごめんなさい。触ってみたかったの。」
「そうか。じゃあ、もっと触れてくれ。ほら。」

『ほら。』なんて言われたって今のあたしにはあれが手一杯。

「あのう?どこを触ると気持ちいいんですか?」

バカなこと言ったと思った。でも口からでた言葉は戻る訳ない。きっと笑われる。そうにきまっている。

「マヤ、いつも俺がするようにしてみろ。君が触れられて気持ちいい所を触ってみてくれ。」
「あたしの気持ちいいとこ?」
「そう。男も女も同じ。相手が感じる所が自分も感じるんだ。おいで。」

速水さんの大きな体に跨ってあたしの感じるところを考えながら触れてみた。そっと覆い被さるように首筋にキスをした。最初は点々と落としてゆっくり唇と舌を使って撫で下ろしてみる。胸を円を描くように撫で、突起を摘む。話をしている間にほんのり柔らかくなっていたけど、あたしがまた触れたらまたきゅうと唇を窄めるかのように縮んで固くなりはじめた。

「速水さんのここ。すごくいやらしい…」

いつもの速水さんのセリフが突いて出た。首筋から胸に唇を下ろし固くなった乳首にもキスをした。





「う…」

小さな吐息が洩れてきた。すごく切なそうな吐息。唇で摘んで舌でつんとつついてみると少し体を捩った。これが感じているって事なんだ。丁寧に舌を使って舐めるとまたあの切ない吐息…。胸からお腹に手を滑らせ脇腹をなでると

「は…」

と声をあげる。目を閉じて口を軽く開いてすごく集中してるみたい。一生懸命にあたしの不器用な愛撫を受けている速水さんが愛しくてしかたなかった。
お尻を少し動かしてパジャマのズボンに手をかけると、急に上半身を起こした。

「そんなことはしなくていい。」
「え?でも、あたしの感じるところをさわるんでしょう?」
「俺はいい。」
「でも。速水さんがどんなふうに感じるのか、あたしも知りたい。」
「いいのか?」
「はい。」

そっとズボンを下ろすとあたしがこの前買った、ヒップハングの黒い布。それがあたしを一番の感じるものを隠している。
それを手のひらでそっと撫でる。じっくりと見たことなんてない。正確にどんな形をしているかだって知らない。あたしの知らない速水さん。きっとここだけ。丁寧にゆっくりと撫でていると段々膨らんできた。熱を帯びて。固くなったものを頬ずりをしたり人差し指で撫でてみたりもした。ふと頬に冷たい感触がした。きっとあたしが速水さんの愛撫で濡れるように速水さんも感じて濡れてくれているんだ。そう思うと嬉しかった。

「もう、いい。寝よう。」
「ダメ。速水さん、感じてるから。」

そう言って腰骨にかかるゴムに手をかけ、ゆっくりと下ろした。
赤黒い物が目に入る。ううん、暗いから色なんてはっきりしない。でもあたしにはそんな感じがした。そっと手にとってその先端にキスをすると

「あっ…」

聞いたことないような声があがった。口に含んでみた。じんわりとあったかい。奥まで含めるかと思ったけど無理。喉に引っかかる。ゆっくりと外し、今度はアイスを舐めるようにゆっくりと舐めてみる。ぴく、ぴくと動いてる。上から下まで丹念にキスをして根元の部分に至った。丸い物に手が触れる。どうしたらいいのかなんてわからない。だから優しく包んでみる。つるつるとした感触。それに触れながらまた速水さんを口に含む。

「ああっ…」

あたしの動作にまた声があがる。男の人でも感じればこんな声をだすなんて知らなかった。嬉しさでいっぱいになった。でも、

「本当に、もういい。今日はお互いこの後仕事だ。こんなことを今からしていては休まなきゃならなくなる。」
「でも。」
「だから、今日はお互い早く帰れるよう努力する。これでどうだ?」
「早く帰る?」
「そうだ。この続きは今晩だ。」
「はい。」

乱れた速水さんの衣服を直し、あたしは速水さんの隣に横になった。右手の腕枕が気持ちいい。

「今夜…」

あたしは呟いた。

「なんだ?」
「ううん、なんでもない。おやすみなさい。」
「ああ、おやすみ。ゆっくり寝てくれ。」

今夜…またあたししか知らない速水さんの声が聞ける。そう思うとドキドキして眠る所じゃない。ぐっと速水さんの胸に顔を押し当てギュッと目を瞑った。

「おやすみ…」

そしてベッドルームには2つの寝息が重なった。



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寸止め…。速水氏はよく耐えられましたね?笑 Hermansさん、素敵なSSどうもありがとうございました!(2011/05/31)

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