『魚の口』 by ムーン・ライト様 イメージ画■ さああっと白いカーテンが風になびき窓のすぐ近くにあったベッドの淵とこすれてサラサラと音を立てる。 窓を開けるにはもう寒いとも言える時期だ。 しかしシーツの海で泳ぐ男と女の熱い息が部屋の温度を上げているので、二人にとっては心地いい。 まだ会ってから2時間しか経っていないのに今夜はもう二回目の絶頂。 約一カ月ぶりの逢瀬で真澄は気持ちを抑えることができず、 まだ幾分行為に慣れていないマヤは戸惑いながらも真澄を懸命に受け止めようとしていた。 そしてマヤが先に意識を飛ばしてから数分、 「ん…」 「すまない、急ぎ過ぎたな。」醒めた目の前に前髪を乱した真澄の顔がすぐ近くにあり、マヤはドキリとした。 「ううん…平気…。」真澄の首に自分の腕をからめ、真澄をなだめるように抱きしめる。 真澄はそんなマヤがさらに愛おしく、なかなか彼女の中から抜け出せないでいた。 互いの息が整うまでそのままの体勢でいた二人だったが、マヤの方が先に声を発した。 「あ」いつもの甘い溜息ではない、何かに気付いたような発し方に真澄は 「どうした?」と怪訝そうに尋ねた。 「星が…」マヤが真澄の肩越しに夜空を見ている。 「星?」 真澄は頭を窓の方に向け、目線をマヤと同じ方向に向けた。 「さっき…カーテンがなびいた時も見えたの…あの、一番光ってるの。きれいだなあって思って…」 「ああ、あれはきっと“フォーマルハウト”だ。」 「ふぉーま…?」 「フォーマルハウト。みなみうお座のほぼ一等星だ。今の時期見られる一等星は少ないからなおのこと目立つだろう。」 「うお座…って春の星座じゃないんですか?」 「いや、そのうお座とは少し違う。だが、一般的に知られているうお座の親とも言われてるんだ。」 「ふうん…ねえ、もっと聞かせてください、あの星の話し。」 「…今か?」まだ行為を続けたい真澄はいささか不満そうに聞くが、 「だめ?」頬の赤みがいまだ引かない顔で…しかも潤んだ大きな瞳を向けられ、断れるわけがなかった。 「いいだろう。こっちにおいで。」ゆっくりとマヤから離れ、それと同時にマヤも上半身を起こす。 二人はベッドに座り込んだまま窓の近くに移動し、真澄は足もとにあったシーツを自分の肩からばさりとかけたかと思いきや、マヤの背中にまわり、後ろから抱き締める格好となった。 「寒くないか?」 「だ、大丈夫です…。」 先程あんなに大胆に愛し合ったばかりだというのに、マヤの心拍数がまた上がる。 真澄はさらにマヤを自分の方に寄せ、冷えないように強く抱きしめる。 二人で夜空を見上げる。 「見えるか?マヤ。」 「はい。」 「フォーマルハウト、アラビア語で魚の口という意味だ。」 「魚の口?」 「そう、ここからだと見えにくいがあの星から見て右側に魚の体を表している星があるんだ。」 「わあ、見えたらよかったのに。」 「肉眼では難しいな。で、その魚には諸説あるが有名なところで主に二つある。 一つは隣に位置するみずがめ座のこぼれた水、または酒を飲んでいる姿。」 「そうなんですか!なんだかかわいい。」 「そうだな。」マヤのさっきまでの艶のある表情からは一転、無邪気な笑顔がかわいらしく真澄が微笑む。 「速水さん、もう一つは?」 マヤに促され、真澄はさらに続けた。 「ああ、もう一つは…アフロディーテの化身とも言われている。」 「アフロディーテ?聞いたことありますね。」 「ローマ神話ではウェヌス、英語読みでヴィーナスともいう。」 「え!あのよく絵とかで見る、あのヴィーナス?」 「そう、愛と美の女神だ。」 「でもなんでヴィーナスが魚なんですか?」 「川のほとりで遊んでいた神々が怪物に襲われそうになりヴィーナス…アフロディーテは魚に姿を変え、逃げたという話だ。」 「へえ…愛と美の女神かあ…きれいな神様だったんでしょうね。」 そうしてしばらく夜空を眺めていた二人だったが真澄の左手がするりとマヤの白桃の胸を包み込み、 「きゃっ!」 「…俺のアフロディーテならここにいる。」真澄はマヤの首筋にキスを這わせていく。 「ん…」マヤはすっかり感度が良くなっていた。 「講義はこれまでだ。もう俺は寒くて仕方がない。」再びゆっくりと身体を倒していく。 「あ、じ、じゃあ窓閉めて…あ!」真澄がマヤの乳房をゆっくりと味わい始める。 片方の乳房を舌で、もう片方は揉みしだく。 マヤが仰け反りそうになった時、真澄の動きが突然止まった。 「やはり…それは困るな。」 「でしょう?やっぱり窓閉めて…」と、マヤが起きだそうとするのでそれを真澄が制し、「きゃっ」 と小さい悲鳴をあげてベッドに押し戻された。 「そうじゃなくて。」 「え?」 「アフロディーテでは困る。」真澄はマヤの頬に手を当てながら真剣な顔で話し始めた。 さっぱり状況のつかめないマヤは何の言葉も返せないでいる。 「アフロディーテは…その美貌を自賛して数々の浮名を流したんだ。」 真澄はそのままマヤの身体をなぞりながら、ゆっくり下半身へ降りていった。 マヤはその真澄の手を感じ入るようにゆっくり瞼を閉じてゆく。 「だから」 マヤの足を片方持ち上げ、 「それはとても困る。いや…そうなったら…」 中心に顔を近づけてゆく。 「おれが怪物になりかねんな。」 花を味わうように舌を這わせていった。 マヤの方はといえば返答しようにも自分の中心に注がれる激しいそして流されそうな愛撫を感じ、 ただひたすら喘ぎ声だけが出てしまう。 それでもなんとか答えようと時折口がパクパクしている。 その様子に気づいた真澄がふっと笑みを浮かべながら、先程まで愛撫を続けていたマヤの中心に自身をあてがいながら マヤの耳元でささやいた。 「まさに“魚の口”だ。いや、ひょっとするとあの『みなみのうお座』は」 ぐっと、マヤの中に入る。マヤが「あっ!」と仰け反りまたひときわ大きく口を開けて声をだした。 「アフロディーテのこの時の表情を映し出しているのかもしれない。」 もうマヤは何も考えられずただ自分の中でうごめく真澄を感じるだけで返答する気は全く無くなり 真澄は夢中でマヤを揺らす。 その後も二人は時を忘れ、ビロード色の空に散りばめられた輝きの中で、夢中で愛を確かめ合う。 まるで天から祝福を受けているかのように。 星達から見ると…その姿はペルセウスとアンドロメダが地上に舞い降りたかのように映ったのかもしれない。 ------------------------------------------- まいこさんと読んでくださった皆様へ 初めてまいこさんのサイトにお邪魔した時はあまりの絵の美しさと「こーゆーマスマヤ絵が見たかったのおお!!」とパソ前に感激し、 拍手とヨダレが止まりませんでした。 なおかつ、チャットやひとりごとの超楽しいお話しっぷりにまたまた魅了されてしまいマスマスまいこさんに惹かれてゆく月光です(*^_^*) そんなファンのひとりであった私ですが、この度SSを献上させていただきほんとに嬉しく思います。 今回は甘い雰囲気を出したかったので「月」ではなく「星」にテーマをあてて書きました。 いろーんな星関係サイト様等を参考に書いてみましたがなにぶん付け焼刃^^; 『えーちがうよ!』的な御指摘もあるかもしれませんが…ひらにご容赦ください > <!! まだまだまいこさんの美麗絵のようなあまーーい雰囲気にはとても届きませんが今現在私の表現できる精一杯を綴ってみました。いかがでしたでしょうか? お目をとめていただき読んでくださった皆様、有り難うございました。 そしてまいこさん、この度は拙文受け取ってくださり有り難うございました。あいしてるよー! ムーン・ライト ------------------------------------------- ムーン・ライトさん、テレルヨ!( *ノノ) この度はわがままにもリクさせていただき、素敵SS書き上げてくださって本当にありがとうございました〜! (2011/11/03) ■トップページへ戻る |