『誓いのキスは… 』 by とみぃ様



パタンと、ドアが閉まりあたしはほぅと、誰もいなくなった控室で、息をついた。
冬晴れの今日、あたしと速水さんは結婚式を挙げる。
ドレスを着て、メイクを終えたあたしのところに、参列してくれる人々が、お祝いを言いに来てくれた。
麗やさやか、目の手術を終え、ハミルさんと一緒にフランスに行っていた亜弓さん、パフェのおじさん、もとい速水さんのお義父さんと、朝倉さん。水城さんまで!(桜小路くんと舞さんはさすがに来なかったけど)
聖さんは、一輪の薔薇を控え室の前に置いていった。

みんなの笑顔や心からの祝福の言葉はあたしの胸を熱くする。
あたしは幸せだ。幸せ過ぎて…。
ちょっと不安になる。
鏡には、少しだけ不安げな花嫁が映っていた。

トントン!

白いタキシード姿もまばゆい速水さんが入ってきた。
『式まで待ちきれなかった。綺麗だ。本当に。』
『速水さんこそ、すっごく素敵。』

眩しいものを見るかのように、純白のドレスを着たあたしを見る。
その顔を見てるあたしの視界が涙で歪みそうになる。
泣いちゃダメ、せっかく綺麗にしてもらったのに…。

『涙はまだ早いぞ、花嫁。』
あたしの頬に優しく手を差し伸べた。
『あたし、まだ信じられなくて。速水さんのお嫁さんになる事が。こんなに幸せな今が。』
『マヤ…。結婚はゴールじゃない。結婚式は次の段階へのステップだ。これから君はもっと美しく、もっと幸せになる。それを俺は見ていたい。ずっと君の側で。』
『速水さん…』
そんな事言われたら、余計に涙が出ちゃう。
『あたしは、あなたの側で幸せになる。一緒に幸せに。』
『ああ、そうだ。』

チュッ!
口づけは、おでこに落ちた。
驚いて、目を開けた。

『誓いのキスは、また後でだ。』
『そうでした。』
クスクスと笑いあう。
さっきまでの不安は、速水さんのキスで、溶けていた。
陽の光を受けた雪の様に…。

速水さんはするっと、あたしの頬を撫で、
『じゃあ後で…。』
『はい。』

控室のドアが開き、再び閉じた。
あたしはまた一人になる。

介添えの人が呼びに来るまであと少し。
さっきまでの不安そうな花嫁は、もう何処にもいない。
ベールで顔を覆い、目を閉じる。

アヴェ・マリアの調べが、静かに部屋に流れていた。



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「チ」をみて>妄想が止まりませんでした\(//∇//)\>とのことです^^ とみぃさんどうもありがとうございました〜!(2012/02/06)

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