好きと嘘と、キスの値段。#九泊目/04




「…ぁんっ――」

「…んふ…っ、く…――っ…ん…」

「んは、ぁ……」

「声を殺すんじゃない」
「い、や…こんな声、聞かれたくない…!」
「…誰だってこうされれば、自然に声が出る」

「あっ!…ああっ」
「そうだ…そうやって素直に感じていればいい」

ああ…速水さん、速水さん…!

憶えておきたいのに――
あなたの匂いも、手のひらも、肌のぬくもりも…

でも、でも…

もう何も――考えられない

――マヤ

ああ、マヤ
なんて顔をしているんだ…!


「あ、いやっ、ヤダ!」
「抵抗はしないと言ったはずだ」
「でもっ、い、あっ…あぁ!」

「マヤ…」
「あっ、ああっ」


「あ、あっ、ぁあ」

「あ…ああ、イヤ…!もう、いやっ」
「マヤ、こらえるな。何もこらえなくていいんだ」

「あっ……」

「…きみが、…こんなに濡れているのは、すべて仕方ないことなんだ。きみは何も恥ずかしがることは無い。きみをこんな風に追い立てているおれが、すべて悪い」
「…はや、み、さ…」
「だから、こらえるな。感情も、感覚も、閉じ込めるな。ただ感じたまま…自分を開放してみろ」
「ん、んあっ、あっ」

「そうだ…涙も、こらえなくていい」
「あっ、ああ、速水さん…っ」
「全部おれのせいだ、おれのせいだ…!きみがどんなに感じても、それは恥ずかしいことじゃない。おれが仕向けたことだ、全部おれのせいだ…!だから…」
「あ、あっ……ああ!」
「達ってみろ…無理じゃないはずだ…!」



「ああ、あっ、んん……――アァ!!」

「はあっ、あっ、あ…」

なに…?いまの…な、に…


「いっ、イヤ、そんなのダメッ!」
「ダメじゃない…全部、寄越せ…!」
「ああ…っ」


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