リレーSS 『真澄病 ルート・す 完結編その2』 by み様



「速水真澄に抱かれる…?」あまりのことに脳が考えることを停止する。「ええ、一種の催眠術ね。」その女性はこともなげに言う。「催眠術…」「そう、眠っている間に、あなたは速水真澄に抱かれるのよ」あまりの衝撃に、眩暈がした。しかし、私の身体はすでに、その処置を求め、疼きだしていた。頭に血が上り、息が浅くなり、耳鳴りがする。「次の方―、診察室へお入りくださーい」彼女の手が腕に置かれる。「ほら、はやくお行きなさいな。」その言葉に後押しされるように、私はふらふらと診察室へむかった。***「あなたの現在の症状を教えてもらえるかしら」促されるままに椅子に腰を下ろすと、目の前にサングラスをかけた、まっすぐな黒髪の女性がいた。『なんてきれいな人…』実物の水城女史を目にし、私は息をのんだ。「どうしたの?」「いえ…」唾をのみ、症状を語る。仕事をしていても、買い物をしていても、お風呂に入っている時も、恋人や夫の側にいる時でさえ、速水真澄に対する爛れた妄想が頭から離れないことを・・・。水城女史は私の言葉をカルテに書きつけると、ひとつ息を吐く。「だいぶ進行しているわ。このひとを例の部屋へ案内してちょうだい」彼女は近くにいる女性に言う。「あの…?」「あら、ごめんなさい。説明不足だったわ。」そして、彼女はこれから行われる治療内容を語る。あの美しい女が私に耳打ちした内容を…。私は診察室のさらに奥へ案内された。そこは扉がずらっと並んでいる。「こちらの部屋にお入りください」彼女は一番奥の扉を開き、私に入るように促す。むせかえるようなバラの香り…。「ここに横たわってください」歯医者の治療室でよくみる椅子。そこに横になる。「これを…」きれいな紫色をしたヘルメットとゴーグルを渡された。「それを着けて、身体から力を抜いてお待ちください。しばらくすると、治療が始まります。」説明が済むと、彼女は軽く会釈をし、部屋から出て行った。私は言われたとおりにし、目をつぶる。だんだんと意識が遠くなる…。***「やっと起きたか?」目をあけるとそこには速水真澄がいた。あたりを見渡すと、そこはさきほど通された部屋と違い、マンションの一室のようだった。「え、あれ?」「なんだ?俺のことを忘れたのか?」彼は自嘲的な笑みを浮かべる。「いえ、そうじゃなくて…私…」「大丈夫、君は俺に身体を預けさえすればいいんだ…」彼は私の横に座ると、唇を寄せてきた。***「…い、おいっ…!」「え…?」私を呼ぶ声に、散漫になっていた意識が戻る。「あ、あなた…」「うなされてたけど、大丈夫か?」彼の心配そうな顔。胸がちくりとする。「大丈夫よ」笑顔を返す。「こんなに汗をかいて…」速水真澄とあんなことやこんなことをしていた…もう、すぐそこまできていた…。こんな夢までみてしまう。「ありがとう、ごめんね。」早く夢に戻りたいと思っていることに後ろめたさを感じつつ、私を心配そうに見つめる彼を愛しいとも思う。「なんで謝るんだよ、本当に大丈夫か?」彼は汗で額に張り付いた私の髪をやさしくすくう。「うん、大丈夫」今夜はやさしい彼の胸の中で眠ろう。速水真澄はまた今度…。私は再び眠りにおちる。おわり☆




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