おいでませ 恋はなひらく、湯のさとへ。 #004 のどが渇いたから、なんか飲もうと思って。



「お、お布団、ぴったりくっついてますね…」
「ああ…」
「は、離しましょう」
「そう、だな」


速水さんの、浴衣姿……
や、やだあたし、なんでこんなにドキドキしちゃうの…っ!


マヤ、なんていい匂いなんだ……
い、いかんぞ真澄。これではまるで中学生ではないか…っ!


「な、なんですか?」
「…顔、真っ赤だぞ。のぼせたのか?」
「……っ!そ、そうかもしれません…!そ、そんなこと言ってる速水さんだって」
「お、おれがどうしたっていうんだ」
「…額、すごい汗かいてますけど」
「……っ!そ、そうだな、確かに芯まで温まったからな。汗が、なかなか止まらない」
「そ、そうですね。ふぅ、ホントまだ暑いわ」
「あ、ああ。暑いな…」



ぜんっぜん

眠れん

な、なんだかすごくのどが渇いてきちゃったわ。
冷蔵庫に冷たい飲み物、入ってたかしら?


「わっ!」
「なっ!?」

「ご、ごめんなさい、お布団に足引っかかっちゃって」
「…どこに行こうとしたんだ?一体」
「のどが渇いたから、なんか飲もうと思って、冷蔵庫に…」
「冷蔵庫…」
「起こしちゃってごめんなさい」
「いや、いい…。それよりおれも何か貰おう」
「あ、はい」

あれ?
冷蔵庫の電気つかないわ。暗くてよく見えない…

「速水さん、飲み物がこれしかないみたいです…」
「冷えてるならなんでもいいよ」
「じゃあ、はい。どうぞ」
「ああ、ありがとう」


「…わ、まずい〜!何これ?」
「うぅ…これはひどい味だな。何のドリンクなんだ?」
「暗くてよく見えないわ。電気つけてみてもいいですか?」
「ああ」

「「……!?!?」」

「…最強メロメロ…媚薬入り…、は、速水さん、これ…っ」
「……全部飲んでしまったぞ……」
「あ、あたしも……」



まったくもって

眠れないわっ

なんて効果絶大なの…さすがだわ玉ちゃん印…!

はぁ…、温泉でも入り直したら、少しは眠たくなるかしら?


「わわっ!」
「なっ!?またか!」

「ご、ごめんなさい、何度も引っかかっちゃって」
「…今度はどこに行こうとしたんだ?」
「眠れないから、また温泉入りに行こうと思って、タオルを…」

「…………」

「あ、あの…?速水さ…」

「わあっ!?きゃっ!!」


←#003 ■トップへ戻る #005→