おいでませ 恋はなひらく、湯のさとへ。 #006 あたしと一緒に、恥ずかしくなって。


「あ、あの…っ――」

「や、やっぱりダメっ…、恥ずかしい…――」
「ダメじゃない」
「だって、だって」
「だってじゃない…」


「じゃ、じゃあ、速水さんも同じ格好になって…」
「……え?」

「速水さんも、あたしと同じ格好になってください…!あたしと一緒に、恥ずかしくなって!」
「は――?」




「――っ!!」

「お…驚くほど積極的だな、きみ」
「ち、違…!そうじゃなくて…!あぁ、もうイヤ…っ」

「……マヤ。ほら、手をここに当ててみろ」
「え…?」
「いいから、言う通りに」
「あっ…」

「すごい…ドキドキしてるわ」
「おれだって、恥ずかしい。こんな時はドキドキするもんだ」

「速水さんも、は、恥ずかしいんですか?」
「ああ、すごく」
「本当に?」
「心臓は嘘つけないだろう」
「そう、ですよね…」

「よかった。あたしだけじゃなくて。なんだか、嬉しい…」

「速水さん、もっとドキドキして……」

「お、い…心臓」
「はい?」

「止める気かっ」
「えっ?きゃあ!」

「ん――っ」


「――…ぁ」


「あっ、あぁ」

「ダ、ダメそれ、ダメ」
「敏感だな…」
「は、やみ、さ…やぁ!」

「ぁあ……!」
「〜〜〜〜っ!!」


「お、おい、心臓も息も両方止める気かっ!?」
「ごっ、ごめんなさい、だって…だって…――!」

「そんなに硬くなるな。もっと、楽に…マヤ」
「速水、さ…んっ、あぁ」


「は、や…?え、あの、あの…!」


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