好きと嘘と、キスの値段。#三泊目


「今日は、どのコースで行くんだ?4円か、百円か?それとも千円か」
「…せ、千円コースで」
「殊勝なことだ。潔いなチビちゃん」
「…ええ…借りは、なしです。きっちり支払うつもりですから」
「そうか。では今日の分から、こちらもきっちり請求しよう。昨日までの分は勉強して負けとくよ」
「…あ、ありがとうございます、大家さん」

「一分間で千円と考えて、4万円だと…40分だな」
「40分…」
「支払いに、かける時間だ」
「あの…40分も、ずっと…?」
「携帯のタイマーをセットしたから、アラームが鳴るまでだ。それと…」

「え?…わっ!?きゃあっ!は、はや、はやみ」
「この方が、払いやすいだろう。昨日までのような体勢だと、おれもきみも首が痛む」」
「でも、でもでもっ」
「早くしろ。早くしなければ、その分どんどん時間が延長されるぞ」
「――――!……もうっ、わかりました…っ!」


七年だ。

七年分の想いの不足を、補ってもらう。

「ん、っ…」

「あ…もう」
「まだだ」
「ん…っ、んん、はぁ、はぁ、速水さ…っ」
「まだだと言ったろう。まだ全然たりない」
「…んあ、ん…」

あ…つい。
身体の奥の真ん中が、すごく、熱い。
熱くて、もどかしい。

速水さんの手…なんて熱いの。
力を入れずにただ添えられているだけなのに、そこから溶かされてしまいそう…

…どうしちゃったの、あたし。
すごく…変。


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