好きと嘘と、キスの値段。#七泊目




毎日、ちゃんと来るって言ったくせに…
速水さんの、うそつき。
――おれは、約束は守る男だ。
自分でそう言っていたくせに…速水さんの、うそつき。

どうして今日は来てくれないんですか?
もしかして、昨日のこと後悔してますか?
昨日のキス…
キスしなくちゃいけないのは、あたしなのに…どうして速水さんは、あたしにいっぱいキスしたの…?

速水さんに逢いたい。
あなたに触れたい。

キスしたい。


「チビちゃん…こんなところで寝ていたら、風邪をひくよ」

「あ…はやみ、さん…なの?」
「ただいま」
「…お、おかえりなさい」
「仕事が詰まって、こんな時間になってしまったんだ、すまない」
「こんな時間って…?」
「もう明け方だ。3時半だよ」
「え…ホント…?」
「ああ、もう休もう」

「速水さん…」
「なんだ」
「あのね…、逢いたかったの…」
「………、チビちゃん?」

「……すぅ……」
「おい…寝ぼけているのか…?」

「やれやれ…世話の焼ける…」



「……ないで…」
「え…?」

「…いかないで…行っちゃヤダ…」
「…マヤ…?」

「…………」


「……ここに、いる。どこにも行かないよ……」





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