好きと嘘と、キスの値段。#八泊目/02




「何を…しているんだろうな…おれたちは」
「…あたしはただ、大家さんに賃料を払っているだけです…」
「そうだな…きみは借り主で、おれは大家だ。それだけだ…」
「はい…」
「それだけなのに…」

「なぜきみは、泣いているんだろう…」



「…速水さんには」
「…ん?」
「速水さんには、女の子の気持ちなんかわからないんです…」



「じゃあ、また明日」
「…はい」
「…………」
「…………」







「…おやすみ」
「……おやすみ…なさ、い…」


なに今の?
こんなキス、あたし知らない…!
あんな激しさ、知らない
あんな速水さん、知らない

ああ、好きすぎて、おかしくなりそう…!

あたしの中に、速水さんがどんどん入り込んでくる
速水さんでいっぱいになる
速水さんであふれていく
あたしがあたしじゃなくなっていくみたいだわ…!

もう速水さんのことしか考えられない…
速水さんのことしか考えられない……!!


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