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どうしよう、もう速水さんが来る頃なのに…
あたし、また泣いてしまいそう…
ううん、ダメ。泣いたらダメ。
そうよ、あと四日…あと四日我慢するだけ。
あと四日は速水さんとキスしていられる…速水さんに触れていられるんだから…! |
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でも、もう…
隠し通す自信がない…押し殺す自信がないわ…! |
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来た…!
「は、はーい…っ!」 |
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「少し遅くなってしまったな…」
「あ、いえ…毎度お疲れ様、です」
「………?」
「……あ、あの?何か?」
「気のせいか?顔色が悪いように見えるが」
「え?そ、そうですか?そんなこと、ないですよ。大丈夫、です…」 |
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えっ……――? |
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「…………」
「…どうした?やっぱり具合でも悪いんじゃないのか?」
「…速水さん…」
「……?」
「もしかして、…紫織さんと、会っていたんですか…?」
「え?……あ、ああ。そうだよ……よく、わかるな……」
「……だって、…だって速水さんから、紫織さんの香水の香りがするわ……」
「えっ……」 |
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「あは…あはは。そうだよね…そう、だよね。速水さん、好きな人、いるんだもんね…」
「……マ」
「バカみ、た…い…、バ…み…、あた、し…あは、は」 |
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「おいっ、どこにいくんだ」
「…お世話になりました。ここを出て行きます…!」 「!?おい待て!どうしたんだ突然」
「触らないで!」
「!?」 「そんな速水さんなんか、イヤ!」
「チビちゃん」 |
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「どうして…?速水さん、あんなに綺麗な婚約者がいるのに…どうしてあたしと、キスできるの…?」
「…………」
「は、速水さんは…好きでもない女の子と、こういうことも、それ以上も出来るんですか…っ?」
「…きみは、どうなんだ」
「え…?」
「きみは好きでもない男と、こういうことも、それ以上も出来るのか?だからおれを受け入れても平気なのか?」
「……――っ!」
「どうなんだ」 |

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「あ…、あたしは…あたしは、平気、です。あたしは平気…っ、
そんなこと言うあなたなんか嫌い…!
速水さんなんか嫌い、嫌い!大っ嫌い!!」 |
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――ああ、そうだった。
おれは、何を期待してしまったんだ?
この子がおれを受け入れることはない。
そんなこと解っていたじゃないか。
何を夢見ていたんだ。
この子の気まぐれを真に受けて、おれは… |
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馬鹿だな速水真澄。
お前はどうしようもない馬鹿な男だ。 |
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「そうか、わかった」
「…え?…」 |
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「きみを、抱いて、終わりにする」 |
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「……な、に言ってるの?」 |
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「ここを出て行くんだろう?だったら、今までの賃料をきっちり支払ってからにしろ」
「…え?…速水、さん…だって家賃は」
「賃料は、きちんと払ってもらう。キスじゃなく、身体で。きみは平気なんだろう?好きでもない男に抱かれても」 |
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「…来るんだ」
「はや、速水…」 |
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「やめ、やめて!いやっ!」 |
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「ああっ!」 |
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